Social Impactソーシャルインパクト

Top / Social Impact / 【DRONE FUND代表パートナー 大前創希氏 特別インタビュー】2050年ドローン・エアモビリティ前提社会を創造するために、いま考えるべきこと。

Interview, Social Impact / 

【DRONE FUND代表パートナー 大前創希氏 特別インタビュー】2050年ドローン・エアモビリティ前提社会を創造するために、いま考えるべきこと。

<左 大前様 右 インタビュアー One Work 大須賀>

近年、防災や物流分野を中心に関心を集めるドローンは、特定産業の不を解消するプロダクトという性質に留まらず、それそのものが産業として成立し、暮らしを一変させる高いポテンシャルを秘める。DRONE FUNDはまさにその成長性と社会貢献性の高さに注目し、2016年に創業したVCだ。共同創業/代業パートナーの大前創希氏が目指すのは、ドローンやエアモビリティが飛び交う状況に誰しもが疑問すら持たない「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現。四半世紀先の2050年を視界に捉える大前氏に、前提社会の創造に向けた構想と現在地を聞いた。

大前 創希(おおまえ そうき)さん
1974年生まれ。2002年に株式会社クリエイティブホープを創業し、戦略面を重視したWebコンサルティングを展開。Web戦略の立案・ブランディングから、アクセス解析に基づく科学的サイト分析、Webサイトの設計・構築・運用に至るワンストップサービスを立ち上げ、自らもWebコンサルタントとして数々のナショナルブランドや国際的な企業・団体の大規模Webサイトを成功に導く。2009年4月には、アクセス解析の協議会「アナリティクスアソシエイション(旧:アクセス解析イニシアチブ)」の立ち上げに参画し、副代表に就任する。2014年末より個人的なドローンの活動を開始。2016年3月26日に、ドローンムービーコンテスト2016 の準グランプリを受賞。2017年5月Drone Fund アドバイザリーボードに参画。2018年9月よりDroneFund 共同代表パートナーに就任。ビジネス・ブレークスルー大学/大学院 教授(専門はデジタルマーケティング)。

ワクワクを提供したい。

四半世紀先の未来を描く、一枚の絵ができるまで。

–本日は「2050年ドローン・エアモビリティ社会を創造するために、いま考えるべきこと」をテーマにお伺いできればと思います。まず、大前さんとドローンの出会い、DRONE FUNDの代表パートナー就任のいきさつについてお聞かせください–

DRONE FUNDには2017年にアドバイザーとして、その約1年後に共同代表パートナーに就任しています。2014年頃からドローンのブームがあり、私も含めて幼少期にラジコンに親しんできたミドル世代を中心に自分たちの買ったドローンを持ち寄って自慢するというような光景が少しずつ広がっていました。言ってみれば“第一次ドローンおじさんブーム”で、ドローンが新しいおもちゃとして、空撮が自由自在にできる、操縦性能が良くてレースができる。そんな喜びを感じていたひとりが私であり、ひとりが千葉(功太郎 ※DRONE FUND代表)でもあるのです。

そのような一部の盛り上がりから、ドローンによる社会発展、ビジネスとしての可能性を見い出していくのですが、千葉が個人でエンジェル投資をしている会社をまとめてファンドとして支援してやっていきたいという構想を持っており、一緒にやらないかと相談を受けたことがきっかけです。私自身も自分の会社を経営していますが、会長職となり浮いた時間で次の挑戦を考えていたタイミングでもありましたので、ドローンが仕事になったら面白いと考え参画をしました。

もう1つは、市場をつくるお手伝いができるのではないか、ビジネス人生の恩返しになるのではないかと感じたことです。私は20代からITビジネスに携わってきましたが、いわゆるITの黎明期に、その市場をつくってくれた方々がいたからこそ仕事ができて、インターネットがインフラとして誰しもが当たり前に使えるという土台があって仕事をやらせていただけたと思っています。つまり先人が市場をつくっていたから自分のビジネスが成り立っていたという気持ちから、新たな市場の勃興期に貢献したいという思いが芽生えていたのです。まさに黎明期のドローンに関わることで、自分が市場をつくる立場として貢献ができるかもしれないと考えました。

–ドローンをビジネスとしてとらえた時に、当時はどのような環境だったのでしょうか–

率直に申し上げれば、何もなかったという表現が正しいと思います。ドローンが何に使えるのか、どういう役割なのか、まだ誰も定義ができていないという時代で、ドローンの操縦を教えるスクールはあったものの、現在のように国家資格はありません。JUIDAという団体が発行する資格を持っていると、安全にドローンが運航できるという目安になっていました。あるいはハードウェアにおいては、DJIのドローンが流行しセキドさん(株式会社セキド)など一部企業が販売を開始していたというくらいで、目立ったビジネスはないという時代です。

–ありがとうございます。ここから本題に入っていきたいと思います。「2050年ドローン・エアモビリティ社会を創造するために今考えるべきこと」というテーマの中でこちらのビジュアルはどのような思いが込められているのでしょうか—

大前)これを見てどう感じましたか?

インタビュアー)これを最初に見た感覚は…ワクワク、ですね。

大前) そう、私たちが提供したかったのはそのワクワクです。

スタートアップは、一定のワクワクを前提として仕事をしている側面があります。それは世の中を変えるという信念であったり、世の中を良くするまたは何かしらテクノロジーで未来を良くするという願い、実際に予兆を感じられる期待感であったりします。まずはそれを感じていただきたくて、この2050年のビジュアルをつくっています。私たちは、世の中を変える可能性のあるスタートアップを見つけて投資をして、成長支援をするということを仕事としていますので、ここにワクワクする人たちと一緒に仕事がしたいという思いを形にしたものになります。私も幼少期からテクノロジーにワクワクするタイプでした。数十年前「21世紀はこうなる」という絵を色々な出版社さんが出していて、空飛ぶ車、得体の知れないラバースーツを着た人間、宇宙への行き来が楽にできて月に人が住んでいるという絵をご覧になったことがある方も多いのではないかと思います。想像力豊かな子どもに発信することで「凄いな」「自分もこんな発明をしたい」というワクワクからはじまる好奇心や夢のきっかけを提供してきました。自分が大人になって、その市場をつくるという仕事をしているときに、ワクワクさせるための情報発信ができているのか。できていない、少なくとも足りていないと思ったこともきっかけです。さらに言えば、その当時にあった21世紀こうなるかもしれないという絵に対して、既に実現されていることもあります。例えば腕時計型のコンピューター。ハンドベルト型のマシンに関しては、当時想像していたよりもiPhoneは優れていますよね。想像をはるかに超えているテクノロジーは数多く生まれているのです。ただ一方で、まだ車らしきものは空を飛んではいないし、ロボットが活躍しているという状況は、想像を超えられていない。テクノロジーの問題だけでなく、法律的な問題など障壁はいくつかありますが、当時思い描いていた21世紀らしさが出てきており、ここをお手伝いいただきたいと思っているわけです。

2050年という四半世紀後を描くことに対して、知的かつ想像力を膨らませる難解な作業でもあったと思います。どなたが、どうやって描いたのでしょうか–

DRONE FUNDメンバーや、千葉からもたくさんアイデアをもらって「世の中こうなっているはずだ」という世の中の光景、人の生活を思い描き、さらに発展形のことを考えていきました。イラストレーターさんとは、相当長い年月一緒に仕事をしてきたので、解像度の高い仕事に結びついたと思っていますがそれでも長い時間がかかりました。このオフィスに入るということを決めてからですので、完成まで1年以上かかっていますね。

–オフィスの開設に合わせてというのがあったのですね –

はい、ここにこの絵を置きたいと思って、絵を置く前提で会議室もつくられています。カーテンを開けると、執務エリアから絵を見ることができる設計になっているので、必ず絵を見ながら仕事をするという環境です。私たちはドローン、エアモビリティ前提社会をつくるというビジョンを持っています。前提社会というのは、私たちのエグゼクティブアドバイザーでもある慶応義塾大学の村井教授の研究チームが使い始めた言葉ですが、例えばインターネット前提社会という言葉のもとで、インターネットという言葉を使わなくなるというところまで来ると、社会の中で実装は完了しているということになります。ドローン・エアモビリティ前提社会も、それがあたりまえになることで、わざわざエアモビリティが飛んでいると指を指さない。ドローンが飛んでいて仕事をしていても、それがもうあたりまえになっている社会を目指すということです。前提社会を目指すために、私たちができることを精一杯頑張ろう。その結果が2050年のこの絵につながるというメッセージがあるのです。

私たちの暮らしを一変させる、ドローンのポテンシャル。

–絵が意味するものと強い思いが大変イメージできました。いま、考えるべきことというテーマについて現在地や今後に向けた構想をお聞かせいただけますか–

今夏上場したLiberaware(株式会社Liberaware: 2024年7月29日に東証グロース市場に上場)を例にすると、小型ドローンを開発している企業ですが、人が入れない場所や、埃っぽくて普通のドローンでも入れない空間で稼働できる『IBIS2』というドローンの開発に成功しました。防爆性も非常に高いので、福島原発では実際にデブリ(燃料デブリ。溶融核燃料)を発見して、状況の把握に貢献しています。これは人類未踏のエリアに入ったという非常に重要な一歩だったと思います。このように先進的な事例の一方で、能登地震のように災害時に状況把握や物資の運搬などドローンが活躍する報道を耳にされた方も多くいらっしゃったと思います。小型のドローンで状況把握のために撮影をし、人が入れるかどうか判断できるので、どのように救援を進めるかの方針を決めることができる。福島原発の時代よりも有事に貢献できるドローンスタートアップが増え、一般化してきていると感じます。

残念ながら日本は災害大国ですので、災害に備えて技術に慣れておくこと、災害発生時に直ちにテクノロジーを使って、なるべく早い段階で被災者の状況を把握して、たくさんの命を救えるようにしていくことに意味があると考えます。ではそのために何が必要なのか。平時でも可能な限り多くの自治体で、そして様々な場所でドローンが使われている必要があります。いまは緊急時に東京のスタートアップが呼ばれて、土地勘も無く現地のよく分からない状況を把握しながら、頑張って対応するという形になっている。これは命を助ける、または被災された方々にいち早く何かを届けるということにおいては問題もあって、色々な地域で色々な方々が平時でもたくさんのドローンを活用し、緊急時に使いこなせる社会を目指す必要性があるのです。そのためにも国と連携し社会システムを構築していく必要があると私たちは考えています。

能登の震災において、スタートアップが人の命を救いたい、被災された方々を救いたいという思いから手弁当で現地に行き、自分たちがどのように貢献できるのかにチャレンジしました。それ自体は称賛されることではありますが、他方で仕組みがほとんど無いことも見えてきました。防災庁がこれからできるという点においても、これらの仕組みづくりに私たちの仕事の意味、やりがいを感じています。

–防災分野以外に2050年に向けた絵に関連した事例を教えてください–

私たちは無人かつ自動で動くロボットをドローンと広義に定義をして、「上空」「地上」「水上」「水中」での活躍が期待されるロボットを投資対象として考えています。言い換えるとロボットが人間社会の営みをどう良くしていくのかというところに、投資をしていると言えます。

例えば都市部において上空をロボットが飛行することを考えたときに、風況を把握できることは不可欠であるとの考えから、メトロウェザー(メトロウェザー株式会社/京大発スタートアップ)に投資をしています。ほかにも農業や林業もホットなテーマで、例えば朝採れ野菜のほうが美味しいという点に対して早朝3時から6時ぐらいまでの間の作業を人間がするのは大変ですよね。そのようなことを考えながら、収穫ロボットを開発しているAGRIST(AGRIST株式会社)という会社もあります。林業では放置林が増えていることが問題になっていますが、二酸化炭素の吸収量の測定をするなどカーボンクレジットの観点から貢献しようとするスタートアップも出ています。

もう少し広い視野で私個人の思いも交えてお話すると、例えばドローンやエアモビリティでは、専用の電波帯を手に入れることになるはずだと考えています。今は5GやLTEを使っていますが、元々これらの電波は人間用につくられているので、基本的には下向きに電波はついています。地上で必要な電波は増えていくので、人間社会に向かっていますが、ドローン・エアモビリティ前提社会に向かうとすれば球体で、全方向的に飛ばしていくことが必要になるわけです。2050年に向けた絵ではこの点も表現しています。DRONE FUNDではこれら電波の整備も重要であると考え、KDDIさんをはじめ、NTTドコモさん、ソフトバンクさんの3社に投資いただいています。

これらの事例は語り出すと何時間でもお話しできてしまうのですが、物流に着眼すると固定のカーゴが出てくると格段に運びやすくなりますよね。船舶の大型タンカーではカーゴの形が確定しているので、それを基準となって船の設計がされているのです。いまはドローンのサイズはまちまちですが、コンテナサイズの規格化のようなことも起こるはずだと考えており、そうなるとトラックにも積めるし、電車にも積めるようになる。なので、物流の革命としてコンテナサイズ、パレットサイズが定義される未来がそう遠くないうちに実現されるのではないかと思います。

–私たちの日常を大きく変えるポテンシャルを秘めていますね–

投資家の中には、ディベロッパーの方もいらっしゃいますが、都市がどう変わるのかという目線で考えるとビルのつくり方も変わります。Hマークのヘリポートではなく、バーティポートという、新たなヘリポートに代わる、エアモビリティ、すなわち空飛ぶ車が離発着できるゾーンが整備されてくるはずで、これらは日本においても官民協議会の座組の中で、2022年3月に発表された『空の移動革命に向けたロードマップ』で言及されていることでもありますし、既にアメリカではGoogle傘下の企業において、スーパーマーケットの屋上に小さなバーティポートがたくさんあって、荷物を届けるドローンが活躍するという世界観に近い技術を確立させつつあります。

先ほどの電波塔や標準規格、バーティポートが整備されてくるとエアモビリティにおいて観光資源をどう生かすかという発想も生まれてきます。例えば日本の地方空港から町までの距離は50~60キロ離れているケースも多いです。そこからさらに観光地に行こうとすると、100キロ圏内を点々としているんですよね。これらの移動の問題は観光地への集客とともに、そこに至るまでの体験という観点からも良質なアクティビティに転換しうる白地があると考えます。

数十kmの距離を風景として楽しめる状況であればいいのですが、実際は楽しみがあまりないことも多い。そこに対してエアモビリティで500メートル前後ぐらいの空の旅を提供するということも価値になると思います。もちろんビジネスマンとしては時間の短縮になるわけですから、空の移動手段ということを考えると、地方都市と地方空港を結ぶことにもエアモビリティの活躍の場が大いにあると思っています。

–ここで足元のお話もお聞きできればと思います。2024年から2025年のDRONE FUNDの現在地をどのように捉えていらっしゃいますか–

上場会社がいくつか出てきたことで、市場での認知が徐々に取れつつあることはポジティブな側面だと捉えています。特に先ほどご紹介したLiberawareは、上場後の第1クオーターも非常に業績が好調で、上場がゴールにならず成長性が証明できていると感じます。

一方で、やはりドローンというハードウェア、ものづくりという観点で見ると、まだまだ困難な状況にあるという見方もしています。例えば橋の点検などドローンが活躍できる現場も増えてきていますが、同時にドローン以外の方法論も多く出てきていますので、価格勝負で見るとドローンを活用する利が少ないというシーンも発生しているのです。ドローンに求められていることは、作業の効率化であり、作業のコストを安くするという点ですので、ドローンの社会に対する認知を広げるととともに、ドローンに代わる手段と比較した価値を明確にすること、あるいはもっとシンプルにコストを下げられるのかという課題に向き合うことが求められていると考えます。能力が高く安いドローンをつくる必要性がありますが、量産ができないと安いドローンにならない。量産するほどの市場、顧客ニーズを形成できるのかというジレンマに陥るケースも少なくないのです。

産業をつくるために。

DRONE FUNDで本気で仕事をするということ。

<麻布台ヒルズにあるDRONE FUNDオフィスにて>

–2050年に向けた展望と、当面の課題をお聞かせいただきました。そのような中でキャピタリスト募集されていくとのことで、求める人材像について詳しく教えてください–

投資方針と絡めてご説明しますと、3号ファンドは2024年中で新規の投資は終了し、2025年はドローン産業を確固たる産業に育てていくために、様々な事業会社や政府自治体との交渉、連携を強化していく方針です。私たちはのべ88社に投資しており、投資先のビジネスを見て、対話し、一緒にスタートアップの成長にコミットしていくことで産業をつくるというビジネスディベロップメントの力を必要としています。

–VCの経験値は必須ではないということでしょうか–

もちろんVC出身者に限定しません。VCの役割として一般的にイメージされる投資については、当面は新規投資の機会は限られ、既存投資先への追加投資を検討するというケースが多くなりますが、それでもDRONE FUNDでそれらの経験を積みながらBizDevのスキルを活かしてキャリア開発をしていただく機会になると思います。スタートアップのCxOレベルでお仕事をされている方が、もう少し幅広くスタートアップを見たいという思いを持たれるケースもあると思いますが、そのような方がVCの立場を経験した上で私たちの投資先にジョインするということも考えられます。他にも戦略ファームでの経験を通じて、スタートアップ支援にキャリアシフトしたいという方もいると思っており、私たちとご一緒することでその思いは実現できるのではないかと思います。

–DRONE FUNDはどのような体制で運営されているのでしょうか–

コントローラーというバックオフィスの担当1名を除き、GPの千葉、大前にキャピタリスト5名がBizDevに回っています。外部に一部仕事を依頼しながらという体制ですが、基本的には全員野球でBizDevに注力しているとイメージを持っていただいて齟齬は無いのではないかと思います。支援体制を安定させるため、今回新たに2名入っていただきたいと考えています。日常どんなことをするかについては本当に流動的ではありますが、私自身も投資先に毎週訪問していますので、最初はそこに一緒についてきていただき、ハンズオンでの支援を体感いただくのも良いと思います。ハンズオンのコミットメントの高さは他のVCさんと比較した際の魅力だと思います。

–これは持っていてほしいというスキルやスタンス、価値観があれば教えてください–

BizDevを中心にお話してきましたが、VCとしての役割、機能がありますので、事業計画を策定したことがある、あるいは計画を読んでその定量的な構造やポイントを理解できるということは必要ではないかと考えます。また投資先は国内に限らず、投資先が年に一度必ず集まる場がありますので、言語の面でも異文化コミュニケーションが取れた方が楽しく、お互いの強みをより活かした仕事ができるのではないかと思います。

私たちはベンチャーキャピタルの中でも比較的新しいことをやりたいと思っています。いまはまだお伝えできないこともたくさん考えていまして、もっと事業寄りで、もっとスタートアップの業界を大きな仕組みにしていきたいと考えています。昨今、東証も100億円未満の上場は難しいのではないかという趣旨の発言をしています。調整の段階と言いながらも、そう遠くない未来に現実になると考えています。それが意味するのは、上場前にビジネスをいかに大きくできるかが問われる、人材の面でもそのような能力がある人がスタートアップ側に数多く求められるようになるということです。

–ドローン・エアモビリティ前提社会が黎明期であり、そこを一緒につくっていけるという点も大きな魅力ですね。–

現在20〜30代の方が50代になるとき、この絵の時代を迎えます。これらの世界観を実現するため、一緒にコミットいただけるととても楽しい人生になるのではないかと思います。課題の設定も含めて、非常に難易度の高いチャレンジ、いわばムーンショット的な挑戦をしているスタートアップが多くあります。いまの環境や考えうる選択肢におけるチャレンジでは物足りないと思っている方がいたら、ぜひ私たちのチャレンジに加わっていただきたいと思いますし、私や千葉も一緒になって、頭に汗をかきながら仕事をしていますので、面白い、アグレッシブなフィールドは提供できると思います。

–投資先も本当に魅力的な会社ばかりだと感じます–

ありがとうございます。せっかく水を向けていただきましたので空と海に関わる会社で1社ずつご紹介させていただきます。前者においては先ほど少し触れたメトロウェザーで、「風を見る」というビジネスモデルが空港以外で何に使えるのかと一見思われるかもしれません。ですが、技術的には国内外の競合の数年先をいっており、発想を広げることで活用できる場面は多くありますので、それを実現するお手伝いをしてほしいと思います。海においてはエイトノット(株式会社エイトノット)という会社があります。水上の無人航行システム、要するに船長の代わりをする技術を提供しているスタートアップで、離島に住んでいる方々がずっと乗っていた船が船長さんが不在になって、廃線になってしまう、ライフラインともいえる交通手段が無くなってしまうという問題をテクノロジーで解決しようという挑戦をしています。このように社会課題をテクノロジーで解決しようと考えているチームがたくさんあり、そこに向かって一緒に仕事をしていく中でBizDevのセンスを磨いていただけると思います。

–いま働かれている方のご入社の決め手や働く場として魅力に感じている点のエピソードがあれば教えて下さい–

ドローン・エアモビリティ前提社会をつくるという本気度は入社前に感じていた熱量かそれ以上に感じられるという話はよく聞きます。また、産業をつくることが目標ですので、BizDevの幅が多岐に渡り、色々な支援先に行っては、頭を切り替えるという日々に苦戦しながらも成長を感じる瞬間が多くあるようです。

令和の時代に表現が難しいのですが、熱心に仕事したい人が集まっていると思います。仕事に対する没頭感、仕事を通じて得られるやりがい。能力を結集して、難しい仕事に取り組むからこそ得られる、お金ではない意味での報酬があると感じてもらえているのではないかと思っています。投資先も半端な覚悟ではないので、本気で言う、本気でやりきらないと伝わらない。本気が伝わることがスタートラインと言えるのではないかと思います。

–本気で仕事ができる環境ということですね。最後に大前さんからメッセージをお願いします–

本気で仕事をした先にあるキャリアの事例として、投資先を自ら発掘し、そこを支援する過程で、投資先はもちろん、株主からその人なしで事業運営が立ちゆかないという信頼関係にまで至っていることもあります。DRONE FUNDのキャピタリストとしても強く期待をしていた人材でしたが、本人としても投資先への出向ではなく、その会社のプロパーとして貢献をしていきたいという心境の変化もあり、投資先子会社のCEOとして2025年1月から転籍することが決まっています。ファンドの運営という観点から難しい判断ではあるのですが、採用、育成した人材がどこかの会社にとって絶対必要だと言ってもらえることの喜びもありますし、スタートアップのエコシステムを拡大する手段にもなると考えています。

スタートアップに能力と志のある方が入ってこなければ、そして人が育たなければ、100億円上場という高い壁を乗り越えることはできません。既に高いスキルや経験値を持った人だけでなく、私たちはそのような可能性のある人材を一緒に育てていきたいと思っていますので、関心のある方は扉を叩いてもらいたいと思います。

【参考】
ドローン・エアモビリティ前提社会を創る!特化型VCの投資先支援メンバー募集
https://www.wantedly.com/projects/1908377

ーーー

【この記事取材を行った人】
One Work株式会社 代表取締役 大須賀 洋平

2003 年 リクルート入社 人材系事業にて企画営業を担当。急成長スタートアップからメガバンクや自動車メーカーなどの超大企業まで、様々なクライアントに対し新卒・中途採用、組織コンサルティングなどの人材総合サービスを提供。その後、企画部門にて、営業企画、商品開発、新規事業(RPO)の開発・推進に従事。

2016年 個人で独立 成長スタートアップをハンズオンで支援することをコンセプトに独立。シード期からIPO準備期のスタートアップまで幅広く支援。2018年から2019年にかけてはREAPRA Venturesで、投資先スタートアップをハンズオン支援。

2020年 One Work株式会社設立 代表取締役就任

Pagetop
キャリア相談はこちら