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【プロドローン】空の産業革命への挑戦。SDGsをチャンスと捉え、事業変革を推進する。

空、陸、海。人類が移動の自由を真の意味で手にする時代を迎えようとしている。株式会社プロドローン(本社:愛知県名古屋市)は、水空合体型ドローンや人が乗れるドローンなど、まさに“移動”の革命に挑戦するスタートアップだ。
大企業で30年以上培った経験を買われ、2021年3月に社長に就任した戸谷俊介氏は「SDGsをチャンスと捉え、ビジネスインキュベーションを推進したい」と語る。
同社に出資する、DRONE FUNDキャピタリストの蓬田 和平氏と、
ドローンが解決できる社会課題、そしてプロドローンならではの魅力についてインタビューを行った。

戸谷 俊介(トヤ シュンスケ)さん
DMC(電通名鉄コミュニケーションズ)で30年にわたりモータースポーツ関連業務に従事。モータースポーツの知見を生かしたドローンの可能性を研究し、2019年11月東京モーターショーにおいて日本初の FAIドローンワールドカップと「空の移動革命に向けた官民シンポジウム」をプロデュース。2021年 DMCエグゼクティブプロデューサーを経て、2021年3月31日付で、株式会社プロドローン代表取締役社長に就任。

蓬田 和平(ヨモギタ カズタカ)さん
銀行、外資広告会社、リクルートなどを経て、PEファンド傘下でIoTデバイス開発のスタートアップのCOOとして経営をリードした経験を持つ。DRONE FUNDではソーシング、投資先のハンズオン、広報PRなど幅広く担当。2021年2月からプロドローン社を担当。

“競争”よりも“協調”の時代だから、できることがある。
盟友との約束と決意

ーープロドローンの社長にはどのような経緯で就任されたのでしょうか。

(戸谷)
菅木(現プロドローン社副社長)と食事をしている際に「このままだと会社が厳しい。社長をやってくれないか」と頼まれたことがきっかけです。前職(DMC)では長年モータースポーツの開催をプロデュースしており、菅木とはその頃より付き合いがありました。DMCでは2017年頃からモータースポーツの知見を活かして、ドローンでビジネスができないかということを考えており、その頃には頻繁に顔を合わせるようになっていましたね。ドローン業界はまだ“競争”よりも“協調”の時代で、長年の盟友という感覚です。私自身は、モータースポーツも含めた車とエンターテイメントに関わっていこうということを考えていたのですが、「よりチャレンジングなことをやりたい」という思いがあったのも事実で、誘いを受けてすぐにDMCに退職の申し出を行いました。

ーー不安は無かったのでしょうか。

(戸谷)
株主ともお会いする必要があったり、ステップが残っていたので、DMCには驚かれましたが、不安や迷いはありませんでした。その後千葉さんDRONE FUND創業者/プロドローン社社外取締役)やKDDIの投資部門の責任者の方とも面接し、株主総会で選任されることとなりましたが、正式に決まったのは株主総会の前日です。

「一緒に再生しよう」

菅木の言葉で、私の決意は固まりました。プロドローンの再生は「絶対果たす」と心に決めている約束です。

(蓬田)
プロドローンには高い技術力があったのですが、それを活かせていない。有効に活用するための計画も立てられておらず、起爆剤が必要だと感じていました。私自身、営業会議や開発会議に出席する中で、ボトムアップでのターンアラウンドは難しいと感じており、戸谷さんとの出会いは渡りに船。空への愛情。そして推進力。会社の外と中を結びつける力。自分達にできないことはできないと言えることなど、様々な要素はあるのですが、戸谷さんの参画が大きなターニングポイントになったことは間違いありません。
代表の千葉も「空への愛も含めてこの人しかいない」と太鼓判を押しており、就任後の活躍も期待を大いに上回るものです。

プロドローンが注目するSDGsの注目テーマ

ーー就任されて以降の取組みや、プロドローンがどのような社会課題に対峙しているのか教えてください。

(戸谷)
SDGsについてはCSR的に取組んでいる企業も多いのですが、我々はビジネスに生かせる、イノベーションのチャンスだと捉え、積極的に取り入れたいと考えています。
当社の取り組みは大きく「プロダクト」「社内」「地域」で大別されます。

プロダクトで言えば再エネ分野、例えば水素ジェットエンジンの試作や水陸空ドローンという用途に合わせてトランスフォームしていくドローンについて名古屋大学と共同研究を進めています。車だと40分のところを空だと2分で到着できる。愛知は川が多いので、その時は水仕様に変化し、川の流れに乗っていくだけでエネルギーを使わず移動できる。ラストワンマイルは陸で、というような形です。

社内について例を挙げると、優秀な女性の社会参画を推進したいという思いがあります。
会社の仕組み、一緒に働く同僚、社員の家族、ひいては本人の大切にしたいことなど様々な要素が絡む問題ですが、女性がもっと輝く会社にしたい、ということは特に強く感じています。

地域に関しては、当社は今まで自分たちの研究をほとんど公にはしていなかったのすが、教育分野での取り組みを行っておりまして、地域の中学校と我々のような民間企業が“共育”の場を創発するということができないか、議論を進めています。

ーー戸谷さん自身の思いについても、詳しく教えていただけますか。

(戸谷)
SDGsの17のゴールのうち、半分くらいは自分たちでできるのではないかと思っています。当社が目指すのは空のスタンダードで、特別だった空を自由に使えることは移動の民主化に繋がる。移動が困難だった方の移動手段ができる。そこに新しい職業が生まれる。
当然それ以外にもドローンで解決できる社会課題は数多くあると思っています。高所など危険な仕事の置き換えや、雨や土砂崩れの災害対策、人命救助への貢献。Drone Fundさんには、他の投資先とのコラボレーションなどチャンスを作ってもらい、感謝しています。

ーープロドローンらしさはどのようなところにあるのでしょうか。

(蓬田)
例えば、全天候型ドローンというのはその発想自体が市場にあった訳ではありませんが、そこにチャレンジする姿勢や熱量はほかのドローンプレイヤーには足りていないところかもしれません。スマートフォンと同じで、既存の技術を活かしてあるといいなを作ってしまおう。と、マーケットを作り、ニーズを掘り起こすことができる魅力があります。

(戸谷)
6月に発表したKDDIと共同で開発している潜水艇搭載型水空合体ドローンや、風速30メートルでも飛行できるヘリコプター型ドローンなど、ユニークな機体開発に取り組んでおり、今後もそのようなチャレンジは継続したいと考えています。ドローンの機体を提供する数少ない会社であり、R&Dを得意とすることも当社らしさの一つかもしれません。ドローン産業はまだ実証実験のフェーズが多く、競争よりも協調が大切です。他の機体メーカーからも要素技術の問い合わせを受けたり、サービスプロバイダーから協業の打診を受けることもあります。
DRONE FUNDファミリーの中でも、そのような役割を担いたいと考えています。

「地域で一番信頼されるドローンカンパニー」を目指す。
プロドローンの組織・カルチャー

ーー今後どのような会社にしていきたいとお考えでしょうか。

(戸谷)
「この会社つぶしたくないね」と地域からそう思われる、愛されるような会社にしたいですね。以前はグローバルを打ち出し、シリコンバレーにも拠点を置いていた(現在は閉鎖)のですが、社長に着任して「地域で一番信頼されるドローンカンパニー」というビジョンを掲げました。トヨタ自動車も以前は「町一番」ということを掲げていましたが、やはり地域から大切にされることが重要で、地元企業との連携も模索しながら役に立っていきたいと考えています。

(蓬田)
DRONE FUNDファミリーのR&Dセンターのような形で、他の投資先などから頼られ、プロドローンの技術が社会に貢献していってもらいたいと思います。それが事業成長に直結すると考えています。

ーーどのような社員の方が在籍しているのですか。

(戸谷)
社員は現在49名です(2021年8月末現在)。大手企業出身者もいて、例えばある社員は、前職は航空機の開発を担当しており、プロジェクトマネジメントを得意としています。
そのほかにも、パイロットでありながら旋盤が使えるような職人、また、全く異分野から飛び込んできたような社員も在籍しています。
トヨタさんもそうですが、モノづくりに関わる上で職人は不可欠だと考えており、当社は職人を大切にする会社でありたいと思っています。
ゲームやSaaS業界から転職してきた社員も皆個性的ですが、凄い技術で驚かされることも多々あります。

(蓬田)
プロドローンは、今まさに変わってきている、つまり‘’Reborn‘’しているところです。
変化を受け入れて、戸谷さんのもとでやっていこう、という前向きな方が多い印象です。
また、空への思い、技術へのプライドを持っているのは共通していると思います。戸谷さんも頻繁に商談に行っていますが、手を動かさずマネジメントだけやっている人はいません。

ーー働き方について教えてください。

(戸谷)
社長に就任し、組織の課題は「100日で目処をつけよう」そう決意して取り組んできました。良いことばかりではなく、営業の中核を担っていたメンバーが退職したり、シリコンバレーのオフィスを閉じるという決断もしました。一言でいえば選択と集中で、Drone Fundファミリーの中でほかに魅力的な会社もたくさんあるので、自分たちの強みを生かし、できないことはやらない。という姿勢で取り組んできました。
社長といっても営業の最前線にいるのは当たり前だと思っています。社員には「朝に2件、午後は3件のアポイントを入れよう」と話をしており、私も実践しています。秘書もいないので自分でスケジュール管理もします。
あとは「この人何やってるの?」という人はいないようにしたい。仕事を見える化してくれと常々言っています。蓬田さんが仰る通り、当社は‘’Reborn‘’の最中です。労務管理も課題がありましたが、社員全員に「クオリティ・オブ・ライフを大切にしていこう」と伝えています。長時間労働で土日も仕事をする、サービス残業、そのようなものはいかにスタートアップでも健全ではないし、同調圧力がかかるのも許さない。残業月45時間以内は徹底して守るようにしています。これは私自身経験した前職のグループ企業での反省も踏まえています。

ーーどのような人材を採用したいと考えていますか。

(戸谷)
新しい技術領域にどんどん挑戦したいと思っており、面白い発想をする、それを実現に向けてやっていくことができる方は是非ご一緒したいですね。まだまだ未成熟な産業ですので毎日のようにそれまで知らなかった問題に触れることが多くあります。山小屋に物を運ぶのではなく、下ろしてくることへの課題も強いこと。電力会社さんが、鉄塔の塗装をほぼ1年中人の手で行っていること。
他にも技術的な例としては、私は自動車に関わってきた期間が長いですが、自動車業界ではエアロダイナミクスは古くから注目されていますが、まだまだドローンでは有効活用できておらず、もし活用できればもっとできることが増えると考えています。
ですので、新しい気づきや発見を楽しみながらアイディアを考えられる方は、とても向いている業界だと思います。

(蓬田)
マネジメントに特化したいという方は、まだ価値発揮できるタイミングではありません。プロドローンの技術でこんなことがやりたいんだ、という思いがあって、それをやりきれる人に参画いただきたいですね。

※編集部注
具体的な採用ポジションについては、時期や事業状況で異なります。

ーー最後に、記事を読んでいただいた方にメッセージをお願いします。

(戸谷)
1800年代以降初めての産業革命として、空の産業革命、移動革命が起きようとしています。空、陸、水が本当に民主化する。移動困難者に移動を提供することができる。
どのような企業にいても楽しいプロジェクトはあると思います。
ただ、革命、転換期に携われるチャンスはそうそうありません。10年後にはドローンの活用が一般的になっており、大きな産業になっていると信じています。
少しでもチャンスに感じていただき、当社に興味をもっていただけたら嬉しく思います。

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