Top / Social Impact / 【FullDepth/伊藤×吉賀】地球上の深海を探索したい。個人的な思いが、社会で認められるまでの6年間。
株式会社FullDepth(本社:東京都台東区)は、自社開発の産業用水中ドローン『DiveUnit300』を軸に、日常使いできる水中アクセス手段の提供をする筑波大学発スタートアップだ。人の目では何も見えない暗闇。人体が耐え切れない水圧。激しい波は方向感覚を失わせる。そんな過酷な環境でも「必ず動く」製品づくりに挑む。原点は、1人の「もっと知りたい」「とにかく潜りたい」という圧倒的な熱量だった。今や高齢化と人口減少により維持が困難になっている水中インフラの救世主として、全国から期待を集めている。深海への恋を、どのようにビジネスとして繋げたのか。CEOの伊藤氏、COOの吉賀氏(両名ともに代表取締役)にインタビューを行った。
伊藤昌平(イトウ ショウヘイ)(写真左)さん(株式会社 FullDepth 代表取締役社長 CEO)
1987年神奈川県生まれ。筑波大学第三学群工学システム学類卒業。大学在籍時よりベンチャー企業においてロボット試作開発に従事。2014年6月独立、株式会社FullDepthを設立。代表取締役社長に就任。300mの深海まで潜水できる産業用水中ドローンDiveUnit300を開発。様々な産業用の潜水ニーズに応えている。また、さらに深く潜水できるTripodFinderを試作し、深海1000mまでの潜水を達成。2020年11月より国土交通省「海における次世代モビリティに関する産学官協議会」委員。リアルテックベンチャー・オブ・ザ・イヤー2020「グロース部門」受賞。MITテクノロジーレビュー主催「Innovators Under 35 Japan 2020」受賞。
吉賀智司(ヨシガ サトシ)(写真右)さん(株式会社 FullDepth 代表取締役 COO)
福岡県大野城市出身。筑波大学第一学群社会学類卒。代表取締役社長の伊藤とは大学時代の音楽仲間&釣り仲間。国内大手ベンチャーキャピタルを経て個人事業を行っていた2015年、伊藤から事業計画について相談されたことを端緒に、深海に潜るドローン/ロボットの実用化を進めてきた。2016年3月株式会社FullDepth取締役就任。2019年9月代表取締役COO就任。
ーー創業のきっかけとお二人の出会いについてお聞かせください。
伊藤)「深海を見たい」という想いが原点で、中内(筑波大学大学院システム情報工学研究科教授/株式会社FullDepth取締役会長)とともに当社は2014年6月に創業しました。最初は受託型のビジネスをやっていましたが、自分たちのビジネスを持ちたい、それを成長させていきたいという想いが強くなってきていた時期に、筑波大学のアントレプレナー教育のプログラムである『筑波クリエイティブキャンプ』に外部受講生として参加する機会に恵まれたのが転機になりました。ただ、私は工学系で事業計画を書いたことが無く、吉賀に助けを求めたことをきっかけにして今のように二人三脚で会社運営していく縁に至ります。
吉賀)私の専攻は経済系で、新卒でベンチャーキャピタルに就職したのですが、伊藤とは大学時代のオーケストラ部の同期で、趣味である釣りにもよく一緒に行くという関係でした。やりたい事業は、当時は今と別のことを言っていたのですが、「深海にとにかく潜りたい、何としてもナガヅエエソ(深海魚)を見たいんだ」ということを真剣に言うんですよ。その熱量に押されて、私も水中のドローンやロボットについて調べてみたところ、当時は水中ドローンという言葉はまだ無く、ほとんど検索には出てきませんでした。英語で調べると石油や軍事の領域で大型の水中ロボットが使われていることが分かり、水中、深海のドローンにビジネスチャンスがあるのではないか、と感じるようになり2015年の春から検討を進めることになります。『筑波クリエイティブキャンプ』のプレゼンに向け事業計画を練る過程で、伊藤の前職の繋がりからベンチャーキャピタルの方とお話する機会があり、興味を持っていただくことができました。私の投資サイドの経験上からも、運が良かった、という言葉に尽きるのですが、“ロマン枠投資”というものがちょうど始まり、第一号に選んでいただくことができたのは大きな一歩だったと思います。当時は市場調査資料など無かったので色々なことを調べ、努力を重ねてきましたが、ひとまず資金調達を実行でき事業を開始することができました。
ーー伊藤さん、吉賀さんの会社運営の原点や、想いについてもう少し教えてください。
伊藤)分からないのが楽しい、というのが子どもの頃から抱いていた感覚です。元々生き物は好きで、海水魚を飼ったり、虫取りをしたりというのはよくやっていました。図鑑を見るのも好きだったのですが、知ってる生き物について詳しく知るよりも、全然分からない、見たこともない生き物を発見した方が、より興味を惹かれました。「何でそんな形なの?何でそんな所に住んでるの?」という好奇心が湧いたのを覚えています。その最たるが深海魚で、大人になっても気になり続けているというのがその答えなのだと思います。分からない、というのは面白い話で、分かる瞬間に向けて知りにいくのですが、深海魚はずっと分からないのです。分からない生き物、分からない世界だから気になり続けています。一方でロボットに関する仕事がしたいというのは幼少期から考えていたことで、小学生時代の卒業文集にも「ロボットを発明したい」ということを書いていました。そのような想いもあり、今の仕事に繋がっているのだと感じています。
吉賀)深海に恋してる、恋焦がれている。伊藤の原動力はそれに近い感覚なのではないかと思います。これだけ長い付き合いですが、伊藤の“分からない”ところかもしれません。
伊藤)深海のことを他の人が見つけるのは、嫌だという感覚もあります。私以外の誰かが発見しても、いやむしろ早く発見された方が社会的な意義はあり、そうあるべきだとは思っていますが、それとは別で、私個人の本音として自分がそれを見つけたい。そんな気持ちがあります。
吉賀)私は、よく分からないものにチャレンジするのが好き、というのが根本にあります。釣りも趣味だったので水中に惹かれるものがあった。個人的興味、関心の領域が一致して、持っているスキルもお互いにカバーし合えたというのも良かったと思います。伊藤はロボットエンジニアとして技術を培い、私はベンチャーキャピタルで、資金調達や事業づくりを経験してきました。背中合わせで会社を運営できる、という良いバランスだったと思います。これだけ世の中で人材不足と言われていますが、同じオーケストラの数十人の同期の中に、当社のような事業に本気で取り組む人間が2人いたというのは、奇跡的なことではないかと思います。
ーーそれぞれの想いが、どのように事業に繋がっていったのでしょうか。
伊藤)私は、自分たちのやっていることが何らかの役に立っていく、社会に価値を残していくことが仕事だと思っています。自分のやりたいと思っている世界の途中に、困っている人たちがいて、役に立つことができればモチベーション高く仕事ができるのではないかと思います。ですので、いまお話しした深海への好奇心やロボットと、FullDepthが特に評価いただいているインフラ点検、あるいはこの取材のテーマである社会課題とは、一見異なると感じられるかもしれませんが、私の中で一直線上に常にあるものだと思っています。もう少し補足をすると、深海を見たいだけなら最初に資金調達できたタイミングで、自分で作って、ひたすら眺め続けるということもできたと思うのです。でもそうではなくて、もっと地球上の深海を探索したいし、それを目指す過程で世界のお困りごとを解決できると感じています。その規模を目指そうとすると自分だけでやるのは不可能で、より多くの人を巻き込む取組みになっていなければなりません。結果的に地球にこれから人が住み続けるために、海の環境把握に寄与するなど社会課題の解決に繋がるということです。
吉賀)強烈に「やりたい」と感じていること。そこが私たちの根幹なのだと思います。それを永続させるために、世の中の需要にどうつなげて生存できるか。社会の課題解決に貢献できるか。それが設立時からの大きなテーマでした。水中の対象は大きく三つに大別されます。「生物」「資源」そして「インフラ構造物」で、中でも、特に需要があると考えたのは水中の「インフラ構造物」です。ダムや橋梁などインフラの老朽化や洋上風力発電の建設を推進するにあたって、潜水士の存在は不可欠です。高齢化による引退や、全体の人口減少とともに絶対数が減っていくのはもちろんのこと、危険な仕事ですので、潜水士を目指す人自体も多くはありません。そういった需要を結び付けて製品を開発していく必要があると考え、その中で生まれたのが『DiveUnit』シリーズ(下記画像参照)です。
伊藤)先々を見据える気持ちを無くすと続きません。一方で仕事を回していく、成果を残すことは重要で、実績を積みながらもやりたいことはブラさない。代表としてそのように大きく構えられるようになったというのは、この6年の私自身の大きな変化だと思います。大局的に見たときの社会課題である、マイクロプラスチックの問題などの地球環境は長い時間をかけて戦っていくテーマです。吉賀からもご説明した潜水士の不足に対する解決手段は、私たちがやっていることですぐに役に立てることがあるかもしれない。この活動をしていくことが、世の中にとっていいことであり、自分たちにとってもいいことだから懸命にやろうと決めて取り組んでいます。
ーー前例の乏しい分野で多くの葛藤や困難があったのではないかと思います。そのあたりについても詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
吉賀)ターゲットを水中インフラに絞ろうということは早い段階で決めましたので、その中で具体的な用途をどこまで広げられるかを模索してきた、そこが困難であり苦しんできたポイントだと思います。先ほどの3分野だと、生物系はエンタメを除いてほとんど需要がありません。資源は国益との関わりが強く、かなりの先行投資も必要になりますのでスタートアップが参入するというのは現実的ではありません。ですので「水中インフラ」に向かって走るということを決め、その中で需要をどれだけ取り込めるか、顧客のワークフローやライフスタイルに入り込めるかに注力してきた、というのがこれまでの当社の動きです。試行錯誤を続けながら少しずつ売上を拡大してきました。そういったある種“決意”を固めて動きましたので、伊藤も私も苦労しながらもメンタルの浮き沈みはほとんどなくやってこれたのではないかと思います。
伊藤)今、当社では「日常使いできる水中アクセス手段を提供する」という言葉を、事業規定ワードとして掲げています。ロボットやドローンにしても、例えば手があればいい、高機能なセンサをつけるべきだ、という話の前に、「絶対に動く」ことは最低限求められるものだと思います。私自身、生粋のエンジニアということもあり失敗を重ねてきましたが、機能は申し分ないが、10回のうち1回は壊れてしまう、という製品を平然と試作していた時期もありました。当然、日常では使えませんよね。当たり前に使えることは大前提なのですが、水中で当たり前を実現するのはとても困難なことで、だからこそ克服したいと考えています。特に先ほど吉賀が説明した海中は「今日は壊れてしまったから点検を止めておこう」ということが言える場所ではありません。前提条件のハードルが高く、必要なときに確実に動かないといけないような、ミッションクリティカルな場所が非常に多いのです。そこに向き合っていく覚悟を持ち、技術を培う必要があることがこの事業の難しいところだと思います。迷ったという意味だと、もっと深く潜りたいという気持ちが事業を始めたばかりの頃はありました。「そこに市場は無い」と言われて「分かってるけど行きたいんだよ」と。そういった、私個人としての感情を押し殺していたこともありましたが、今は今のやり方が正しいと思えるようになっています。
吉賀)ずっと伊藤には、「あえて事業で提供する製品については深海に行かない方が、かえって深海に近づく」ということを言っていました。
伊藤)私の中で腹落ちできたのは「1回だけその深さに到達できればいい」ということではなく「ありとあらゆる深海に到達したい」という言葉の定義ができてからですが、そう思えるまでに時間はかかり、苦労させたと思います。
吉賀) 『DiveUnit300』というのは深さ300メートルまでを対象にする製品ですが、試作機はナガヅエエソという魚が生息する、深度1000メートルくらいまで潜れるような仕様でした。ただ、1000メートルまで対応できるプロダクトをつくるのは相当難しいと感じたことや、顧客インタビューを経て、国内の水中インフラの点検においては300メートル潜れれば、98%前後の件数の仕事をカバーできるだろうという考えを持つに至りました。コストやセンサ性能など総合的に勘案し、300という数字に決めています。
ーー市場や顧客の反応はいかがでしたか。
吉賀)おかげさまで一定の評価をいただけたと感じています。最近では洋上風力発電に関するプロジェクトの引き合いや、昨年の12月にリリースした国際航業様と当社との神戸市での実証試験(*1) に対する反応も増えており、世の中への浸透を感じ始めています。実績を出せているというのが大きく、水中のドローンという言葉が世界に存在しないタイミングで事業をスタートできたのも良かったと思います。これを今始めていたら、海外でもっと安い製品も出ているのに、なぜ日本でやるのかという議論になっていたのではないでしょうか。国としても2019年の初頭より水中ドローンを推進する動きが強まっており、製品を出すタイミングとしてもちょうど良かったのではないかと思います。
*1『海の課題解決に向けた実証事業実施業務(海プロジェクト)』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000024434.html
ーー具体的にどのようなプロジェクトを進めているのでしょうか。
伊藤)ダムや港湾、洋上風力発電における問い合わせのほか、静岡県清水市におけるローカルシェア(*2)のプロジェクトにおいて水中ドローンやロボットを活用できる人材を増やすための取組みを進めています。これは当社のパートナーである静岡商工会議所様が国交省の「海における次世代モビリティに関する産学官協議会」の実証事業に採択されたことがきっかけになっています。神戸市とは海のインフラ構造物の老朽化状況を調査する際に、効率的に水中のロボットなどを用いて点検できるか、という実証試験を進めています。三重県とは「クリミエイティブ実証サポート事業」(*3)の文脈で、アコヤガイやカキの大量死など海洋環境の変動に対して当社のテクノロジーで貢献できないかというという取り組みを行っています。
*2『ローカルシェアモデルによるROVを用いた港湾施設点検の実用化実験』
https://fulldepth.co.jp/news/detail.php?id=148
*3 三重県による、世の中の考え方・働き方の変化に伴い発生する新たな地域課題・社会課題の解決や、「新たな日常」の実現に向けて、革新的なビジネスモデル・テクノロジーを推進する事業。
ーーまさにソーシャルインパクトの部分だと感じますが、お二人それぞれ、社会課題の解決に役立っていると感じる場面について教えてください。
伊藤)潜水士が足りない。機械化が必要だということは至る所で言われていますが「ロボットで水中の仕事を全てやるのは現実的ではない、いかに協調するかだ」ということを説得力を持って提言できることは私たちならではだと思います。単純作業をロボットで代替し、複雑なところだけ貴重な潜水士のリソースを使うということですが、具体的にどこを代替するのか、どこからどこまで人の手が必要なのかということを実績を元に示すことができます。人とロボットが協調し、経済効率的なビジネスをやっているということが示せると、さらに社会に浸透していくと思います。
吉賀)お客様の声の変化にもその答えがあるのではないかと思います。5、6年前であれば、水中を見たことがないのでどうすれば見れるのか。それが「音響的に探したい・位置を知りたい」というニーズに変わり、さらに「見ることはできたので、次は何らかの目的に沿って影響力を行使したい」というニーズに変化する。私たちのプロダクトをご利用いただいて、お客様自身が「これがやりたかったんだ」と理解して要望が生まれ、それに応えられるオプション、装置を提供すると、また次の要望が生まれる、という循環になっている気がします。お客さまもアップデートされ、当社も成長してきているというのを日々感じており、そこが社会に必要とされていると感じられる場面で、最も嬉しい瞬間ですね。
ーーどのような方が働いているのでしょうか。
吉賀)年齢としては、下は26歳から上は62歳まで。経歴やバックグラウンドは本当に様々ですが、共通して「何かをやりたい」という気持ちをみんなが持っているのは特徴だと思います。世界的に見ても小型の水中ロボットでビジネスの成功を収めていると言える企業はまだありません。科学的な水準もですが、人が住んでいない故に課題の言語化が進まず開発が進みづらいという背景もあります。過酷な環境ですので、防水、耐圧という観点のほかにも塩や波の問題、深海は暗闇ですのでその観点もクリアせねばなりません。そうでありながら、洋上石油プラントや軍事的な要望など、大型かつ大きなコストをかけて機材を使えるような場所、場合を除き、大きな投資をしづらいのが実情です。そこに当社はハードウェアが絡む事業でスタートアップとして挑むというさらに特殊な挑戦を行っています。不確実性の高い中で必要なのは、何かをやりたい、成し遂げたいという気持ち。当社の社員はそれぞれの「やりたい」を叶えるために集ってきているのだと思います。
伊藤)会社組織がミッションの実現に向けて動くものだとすると、そこに乗る人、つまりは働く一人ひとりの社員に自分の目的、平たく言えばやりたいことが入っているというのはとても大切だと思います。自分でベクトルを持っている人であれば、われわれがやろうとしているところに生かせることがある可能性が高く、お互い良いパフォーマンスに向かうことができるのではないでしょうか。その意味で受け入れの幅は広い会社ではないかと思います。
ーー募集している人材について教えてください。
吉賀)会社の方向は徐々に明確になってきており、実績も出始めています。テックサイドでは、ハードウェア、組込み、WEBエンジニア、アプリエンジニア。品質向上やコスト低減なども課題になってきますので、生産、品質回りの知見をお持ちの方や購買、サービススタッフの体制も強化したいと考えていますし、IPOに向けてはバックオフィスのスタッフも必要になってくるでしょう。全方位的に人材の需要が高まっています。私たち経営陣にとっては、皆さんが気持ちよく働くフィールドを作るということも大きな役目ですので、それに足る資金調達と事業づくり、組織づくりを行っていきたいと考えています。
ーー最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
伊藤)技術面の視点で私からお話しさせていただくと、当社はまだルールの整備や業務の標準化がされていない環境です。業界として前例が無いというのもありますし、ようやく軌道に乗る兆しを見せ始めたという事業フェーズもその理由です。水中という未知の領域の開拓に向けて、自分でルールを作り、ゼロから積み上げるために発言も行動も求められます。その分技術的なイノベーションを起こすチャンスが数多く残されている領域だと思います。自ら何かを成し遂げたい。そんなフロンティア精神を思い切り活かせる環境です。
吉賀)当社は“現場に出る”スタートアップであり、物理的に大海原に乗り出す場面が多々あります。未知の課題を自分で見つけて解決したいという方は、色々試せる場所として非常に面白い環境だと思います。事業ステージとしてはスタートアップ用語で言う「死の谷」から抜け出そうとしている最中で、会社の成長曲線においてJカーブの底から這い上がっている途中です。暗中模索の苦労を経て大きく飛躍できることを目指しており、そういった生きている感覚、生々しい臨場感があるというのはひとつの魅力ではないかと思います。