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【SECAI MARCHE×Beyond Next Ventures×One Work】ECの本質は“リアル”の中にある。小さな異変にこだわり、食の流通変革に挑む。

働くうえで大事にしたいこと。それがいつ、どのように定まるのか、それをどのような形で体現していくのかは人の数だけ存在する。そして、多くのビジネスパーソンが悩み、日々を過ごす本質的なテーマだ。2022年、SECAI MARCHEに参画した矢島氏は、凸版印刷、ベンチャー企業での15年間の就業も含め公私に渡る経験と出会い、気づきの積み重ねからキャリアに対する価値観を固め、食の流通という社会課題に向き合う覚悟を決めた。
人生に、仕事に何を見出すか。何にこだわるのか。SECAI MARCHEに出資し、組織支援を担当するBeyond Next Ventures三國氏と、 矢島氏の転職を支援したOne workコンサルタントの大川を交え、本テーマで対談を実施した。

矢島 匡人(やじま ただひと)さん/株式会社SECAI MARCHE R&Dグループマネジャー
東京電機大学大学院情報メディア学専攻修了後、新卒で凸版印刷株式会社に入社。
その後、株式会社リバークレインに入社。フルスタックエンジニアとして開発業務に従事。
当時はまだ珍しかった越境ECサイトプロジェクトの責任者を担当。越境ECサイトリリース後、越境ECビジネス運営責任者に就任。その後、中国・台湾・ベトナム・タイなどの各国の現地EC立ち上げのサポートをし、2022年から現職のSecai Marcheに転職。R&Dグループマネジャーに就任し現在に至る。

三國 弘樹(みくに ひろき)さん/Beyond Next Ventures 投資部 企画推進チーム チームリーダ 
武蔵大学経済学部卒業後、新卒で2012年4月 JAC Recruitmentに入社。製造業領域の採用支援を担当後に、2017年エグゼクティブ部門に異動し、ベンチャーキャピタルの投資先の経営幹部の採用に関わる。エグゼクティブ部門のマネージャーを経て、2020年10月 BNV参画。出資先の組織成長支援やコミュニティ運営を担当。

大川葵央(おおかわ きお)/One Work株式会社コンサルタント
青山学院大学国際政治経済学部を卒業後、大手交通系企業人事部で労務管理、採用、制度構築など人事領域を広く経験。米国大学院に留学し、国際連合本部の人的資源管理部にてインターンや、国際環境 NPO での資金調達業務に従事。開発学や社会課題解決におけるマルチセクターアプローチ、人的資源配分の在り方を学ぶ。帰国後は、地方創生・起業家支援のスタートアップを経て、One Work に参画。

「世界で活躍したい」という志が定まるまでの過程

ーーSECAI MARCHEに入社されるまでのご経歴について教えていただけますか。

(矢島)
大学院ではメディア学を専攻し、自然言語処理によって書籍の検索を行うという研究をしておりました。卒業後は凸版印刷にエンジニアとして入社し、書籍や雑誌のWeb化、つまりサイトの立上げに携わっておりました。エンジニア、Webプロデューサーという役割を経て、社会人3年目のタイミングで株式会社リバークレインというバイクパーツ、アクセサリーのEC事業を展開する会社に転職しています。越境ECサイトのプロジェクト責任者という役割を任せていただけることになりますが、まだ越境ECという言葉自体が世の中に浸透しておらず、本格的に展開しているプレイヤーもほとんどありませんでしたので、前例が無い中で1から事業の立上げはもちろん、販売やカスタマーサポートまでリードする経験を積むことができました。それが形になってからは、システム開発部門を経て、海外での事業をハンズオンで立ち上げて回るという生活をしていました。

ーー現職も含めて長年越境ECに携わっていらっしゃいますが、どのような魅力や難しさがあるのでしょうか

(矢島)
あまりイメージが無い方もいるかもしれませんので、簡単に構造にも触れたいと思いますが、日本のものを海外で売る、売る国を増やしていくということもあれば、台湾やインドネシアなど海外で仕入れたものを現地で売る、あるいは日本に売るなど様々なパターンが考えられます。

(三國)
実際に拠点、マーケティング戦略をどうするかという点も国によって法令や生活の習慣も違いますので多岐に渡ってきますよね。

(矢島)
仕入れて倉庫に入れてそこから出す、という根本は変わりませんが、仰る通り展開は変わってきます。例えばコミュニケーションの手段を一つとっても、中国は電話文化でメールアドレスを持っていない人もいる、台湾はLINEが中心、ベトナムはFacebookの利用率が非常に高い、などその国に適したサービスを考えなければならないという面白さと難しさがあります。もう少し具体的にお話すると、中国はメールはしないが、サービスにチャットがついているのが当たり前で、気になったらすぐに問い合わせをしたいというニーズが強い。そして問い合わせに対してすぐに返信するというのが当たり前になっていますし、ベトナムであればFacebookで個人売買をすることは良くある光景です。

ーー海外に関わりたいという思いは元々強かったのですか。

(矢島)
何となく楽しいというところから興味が広がってきた、思いが固まってきたというのが正直なところです。凸版印刷にいた頃ですが、短期ながらカンボジアにバックバッカーで旅行したことがあり「海外は楽しいかも、やれることが広いのかも」と興味を持つようになりました。リバークレインで、ビジネスとして海外と関わることが多くなり「日本を越えてより世界で活躍したい」という意志が定まってきたように思います。

(大川)
転職をお考えになる方の多くは、意図しないきっかけから価値観が醸成されていくケースが多いと感じます。経験そのものから「できること」が広がる過程で志向がはっきりしてきたり、人との出会いや経験から直感的に感じたことが原体験になっていたりすることもありますよね。

(三國)
矢島さんの場合、バイクに興味があったということも後押ししたのかもしれませんね。

(矢島)
それもあると思います。複数のきっかけから興味につながって、海外の人と仕事をする機会を得てからは、現地の人と協力してビジネスをつくり上げることの楽しさに目覚めていきました。

これからも、これまでも、現場に答えを求め続けたい。

ーー海外の拠点、スタッフの方々とはどのように関わっていたのでしょうか。

(矢島)
当時は中国に行って、台湾を経由して、一時帰国するかベトナムも回ってくるかという生活をしていましたね。ベトナムは来月また来るよ、と言って現地スタッフと別れて、2週間後に再度出張しているというようなことも。

(三國)
現地で対応しきれないところは日本が協力する、基本的には矢島さんがサポートする形で進めていたのですね。現地に行かないとそれは難しいものなのでしょうか。

(矢島)
行かないと話が進まないというのもありましたし、現地の状況を見ないと、次のアクションの判断を間違えるというリスクもあったので、現地の声を聞きながら進めるということは大切にしていました。あとは現地のスタッフからすると、トップダウンで方針が下りてきた、仕方なくやる、ということもあるので行って顔を見て話すほうが丸く収まる、結果的にスムーズに進むということも多くありました。

(三國)
日本からメールで指示だけして、全然進まない、意図しない方向に進んで混乱するというケースは聞きますよね。

(矢島)
まさに良くあります。国に限らずですが、実際に行って「こいつは仲間なんだ」と思ってもらうことは正しい指示をすることと同様に大切だと思います。一緒に酒を飲み、社員旅行に行くこともありました。元々そういったウエットな人づきあいも好きなタイプということもあり、現地のメンバーと笑いあい、時に喧嘩をしながら付き合いつつ、事業を動かすということは楽しく感じていました。

(大川)
エンジニアという役割を超えていますよね。プロジェクト全体で見て動いていらっしゃるのだなと感じました。

(三國)
開発の方が開発だけやる、同じ役割の人としか話をしないという組織は事業の推進も遅くなりますよね。様々な投資先を見ていて、矢島さんのような方が1人いらっしゃるだけで早く、大きくビジネスが進むことも多いと感じます。

ーーそのようなご経験を通じ、SECAI MARCHEに参画された背景をお聞かせください。

(矢島)
これまでの話につながりますが「海外とのつながり」「事業の立ち上げフェーズで自由度が高い」など大事にしたいことがあり、未知への挑戦という要素は何かということを考えました。その上で決め手は大きく2つで、SECAI MARCHEにおいては海外の中でもマレーシアというのが今まで経験がない地域で、マレーシアでも人の絆を大切にしてコミュニケーションを取りながらビジネスを成長させていくということをやりたいと感じたことが一つです。もう一つは食品という分野への関心です。妻が食品メーカーに勤めており、実家が群馬でネギ農家を営んでいるのですが、私も年々食への関心が強まっていることを感じています。得意なことと関心のあることの両方を持っているSECAI MARCHEに強い魅力を感じたのがきっかけです。

(三國)
もともとバイクがお好きで、前職でも事業に強くコミットしてこられて充実もされていたと思います。それでもチャレンジしようと考えられたのはどういった理由があったのでしょうか。

(矢島)
前職が一定の規模まで成長し、そこに貢献できたという実感が大きかったと思います。入社時から売上も社員数も6倍近くになり、社員数で言えばパートさんも含めると300名を超える規模になりました。13年いましたので愛着はあったものの、自分の得意なことを生かして成長するには適しているのか。今本当にやりたいことは何かということを考えたときに、転職という道を選択しました。

(三國)
会社の規模が大きくなってくるとプロジェクトの進め方など大きく変わってきますよね。開発においてはスタートアップとの違いはどのような点にあるとお考えですか。

(矢島)
凸版印刷と私が退職するタイミングでのリバークレイン、現職でもそれぞれ違いますが、人が増えると良くも悪くも責任と権限が分担されます。関わる人も増えるので調整が多くなり、利害が一致しないケースも増えてくると思います。今の当社の規模であればCEO、COOが発信してすぐに走り出す。「任せる」と言われたら入社年次関係なく多くのことを決めて動かすことができます。私にとってはそれが違いであり魅力だと感じています。

ーーありがとうございます。Secai Marcheの事業と解決しようとしている課題について、矢島さんの視点でお考えをお聞かせください。

(矢島)
一言で言えば生鮮食品の越境ECを営んでいますが、私が共感しているのは良い野菜を良い状態で届けるということが一番だということです。それを安定的に供給する、多くの人にお届けするということですね。私も妻の実家で作った野菜を食べるうちに、野菜一つ一つの味が違うことに気づくようになりました。産地の違い、加えて日照、土や水の違いで味だけでなく成分も変わってきます。寒い所でつくる野菜って甘くなるんですよ。人によって甘い方がいい、そうではない。美味しい食にこだわりたい。安全である。など、好みは異なると思いますが、それぞれのニーズにお応えすることはもちろん、ご利用いただく方々に対し、懸命に野菜をつくっている生産者の方たちの想いをちゃんと届けられる会社でありたいと思っています。

(三國)
特にマレーシアで日本の食材を味わうというのは当たり前ではないですよね。日本にいると産地が書いてあって新鮮な野菜がすぐに手に入りますが。

(矢島)
利用者からも「季節のものはSECAI MARCHEで確保することに決めている」と言っていただけたことは嬉しかったです。季節ものが色々な場所で、食べられる、届けられるというのは社会的な意義の一つだと感じます。また、やはり無駄を減らし、廃棄を減らしたいというのは当社として目指すところでもあります。日本では冷蔵物流網が整備されていますが、世界で見るとスーパーに着く頃には腐っていることも珍しくありません。良いものをできるだけ良い状態で届けられる、手に入るということを価値とした時に、物流網の構築や予約システム等のインフラ整備により無駄を減らすことにつながると考えています。

(大川)
利用者から見た時のメリットとしては他にどのようなことが挙げられますか。

(矢島)
直近で定期的に届けるリカーリングオーダーという、定期的にオーダーをいただいて、それを毎週必ず届けるというサービスを開始しました。toBの事業者様だとレストランではグランドメニューでつくるものは決まっており、定期的に仕入れたいというニーズがあります。新鮮なものを短時間で届けることができる、それを定期的に配送できることもメリットの一つです。さらには、品種や品目を問わず同時配送が可能です。日本産のもの、マレーシア産のものもまとめてお届けできますし、例えば魚と卵を同時にお届けすることも可能です。日本ではこのようなサービスも普及していますが、途上国では発展しておらず、当社が一括してお手伝いできることに魅力を感じていただけます。補足になりますが、生産者さんの側にもお伝えした以外のメリットがあります。物流網を提供することに加え、適切な価格で売ってその利益を配分するという仕組みになっています。

(三國)
日本で言う農協、JAのような団体を通さなくてはいけないというのが恐らくマレーシアでもあるのでしょうか。あるのですよね。

(矢島)
そういったシステムが存在しないと聞いています。ですので、われわれが業界全体に最適な存在を目指す。適切な価格を決めて適切な価格で売る。適切な仕入れ価格を生産者に払うという立場になれたらと思っています。

課題は曖昧。解決策は無限大
違和感を行動に移せるかが、すべてのはじまり。

(三國)
流通などすべてにITが絡んでおり加工からオンデマンドでできるようにする、というような世界観を目指すとすると全然人が足りませんね(笑)。矢島さんは開発だけでなく、マーケティングとセールスも最近は管轄しているのですよね。今後の展開と必要になる人材イメージについてもお聞かせいただけますか。

(矢島)
冒頭に国の文化に合わせてという話をしましたが、一方で日本の感覚を大切にして事業を作りこむことも大切にしたいと思っています。例えば物を届けるとき、海外だと玄関先で投げるということもありますが、日本ではちゃんと届けますよね。この感覚は生鮮食品になってくると、尚のこと差別化の要素なのではないかと思っています。

(大川)
日本の良さを世界に展開するというイメージですね。

(矢島)
はい。これはビジネスモデルというものではなくカルチャーだと思います。採用や配置にあたっても当面重要になってくるのではないかと思います。そしてマレーシアでのノウハウを展開していくという機会は常にうかがっています。関税や生産、流通コスト、消費ニーズなどマレーシアとシンガポール、香港など国によってメリットデメリットがありますので、それを見極めた上で展開していけると良いと感じます。

(三國)
そういった展開を実現可能なものにするためにも採用は不可欠ですね。われわれとしても採用の壁打ちはもちろん実際に矢島さんのような方との縁をおつなぎするということなど特に日本側のリソースを支援するということは積極的に支援したいと考えています。大川さんに矢島さんをご紹介いただけたことは本当に大きかったです。

(大川)
矢島さんをSecai Marcheさんにご紹介できたのは奇跡的だったと思います。三國さんから「CTO候補として開発の内製ができる方を探している」とご相談いただいて間もない頃に「自社のプロダクトがつくれるまたは育てられる」「受託開発NG」「食・農業に興味」「海外とのつながり」と経歴に書かれている方がいて、それが矢島さんでした。

(三國)
かなりマッチしていますね(笑) 抽象度の高いフェーズですが、そこに魅力を感じる方は選択肢として検討いただければと思います。

(矢島)
私が子どもが生まれたばかりという事情もあり遠隔でのマネジメントが増えてしまっています。本来はもっと現地に行って、どんなローカルスタッフが入っているのか、物流がどう増えているのか、どういったものが売れていてメンバーたちが何に喜び、悩みを感じているのかを知りたいのですが、それが叶いません。エンジニアの方で現地の業務改善に一緒に取り組んでいただける方がいればとてもありがたいです。また、拠点を増やすのであればその責任者も必要になりますし、現地でもスタッフを増やすことができればやれることが増えてきます。仲間を増やすことは当社にとって重要なテーマの一つですので、是非一度コンタクトいただければ嬉しいです。

ーーどのような方が向いていると思いますか。

(矢島)
リアルで何が起きているか、小さな異変に疑問や改善意識が持てるかは重要だと思います。例えば空輸するとして飛行機の中ではキンキンに冷えていた商品が空港に長く置かれることもあります。代表の早川は氷の解け具合でどれだけ放置されたかが分かると言っていますし、単価の高い商品は自ら倉庫内を歩きながら1つ1つの商品の品質をチェックするなど細部にこだわっています。そういった事は現場を見るとすぐ分かる事ですが、R&Dグループはリモートで日本から働いているため分からない部分が多いです。ですが、そういった現地の課題をしっかり想像を働かせて理解できる方が向いていると考えています。

(大川)
早川さんは引き続き現地確認を徹底されているのですね(笑)お話しをする度に組織が大きくなっている印象ですが、それでも大事にされたいことをブラさずに運営されているのが魅力的だと感じました。マレーシアは現在はどのような体制なのでしょうか。

(矢島)
現地には代表の早川と杉山に加え、セールス、マーケティング、HR、サプライチェーン、ウェアハウスといったグループが存在しています。また、キャメロン・ハイランドという所には農家の開拓チームが置かれています。セールスは特に新規顧客の開拓を強化していきたいと考えているので、採用を強化しています。

ーーさいごにSecai Marcheで働く魅力と読者の方にメッセージをお願いします

(矢島)
やらなきゃいけないことが非常に多くあるし、どれをやってもいいということが非常に多くあります。課題をどう解決していくかを自分で考えて、自分で動きたい人にとっては良い環境だと思います。現場と歩調を合わせて一つ一つ作っては直していくという繰り返しの泥臭さが求められる仕事ですが、早川、杉山という2人の代表もかなりチャレンジングな気質なので、前向きな挑戦はどんどんしてほしいというカルチャーだと思います。ビジネスも今グロースしており、人数も増えているので、事業や組織の急成長を感じたい方は面白く感じるのではないでしょうか。そういったことに興味を持っていただけたら、選択肢として検討いただければ嬉しく思います。

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