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【Liberaware】解決しようとしている課題の大きさ、それが決め手だった。「良い環境」の大企業から、一歩を踏み出す。

良好な人間関係、満足できる報酬、そして仕事の中での成長実感もある。不満が全く無かったと言えば嘘になるが、「『良い環境』であったのは間違いない」。産業用ドローンを手掛けるスタートアップ、株式会社Liberawareに転職した全 貴成氏は、前職のオリックス時代を振り返って、そう語る。ITと金融を専門とした全氏は、30歳を目前にして、なぜスタートアップ、そしてモノづくり産業に挑戦したのか。多くの人が躊躇するであろう一歩を踏み出した転機は何だったのか。全氏にインタビューを行った。

全 貴成さん
株式会社Liberaware 事業戦略室

2015年に明治大学で金融工学およびコーポレートファイナンスを専攻し、卒業後はオリックスに入社。
ITセクターのセールス部門で、法人営業として大手企業からスタートアップ企業まで幅広く担当。
新規事業開発部に異動後、事業シナジーを目的としたベンチャー投資、M&A業務を手がけるほか、グループ68社の従業員が対象になるオリックスグループの新規事業公募制度の初代事務局に従事するとともに、自らも新規事業の立案を行い、最優秀賞を獲得した実績を持つ。
2020年、リベラウェアに転職し法人営業、事業開発、資金調達、海外事業展開を担当。

未知だったドローン産業への転職。
厳しく鍛えられた一つ一つが、今に繋がる財産になっている。

ーー学生時代のことやオリックスでのご経験について教えてください。

高校時代はバスケットボールばかりやっていて、キャリアプランなども考えていなかったのですが、
たまたま卒業生の話を聞く機会があり、金融に興味を持ちました。浪人時代を挟んで、大学では金融工学やコーポレートファイナンスを専攻。その流れでオリックスに新卒で入社しました。当時はスタートアップは全く選択肢に入れていませんでしたね。2年ほど法人営業を経験したのち、新規事業部門に異動して、スタートアップのことを知る経験に恵まれたことは、キャリア観が変わるきっかけだったと思います。入社5年目に、オリックスグループすべての従業員を対象とした新規事業公募制度ができ、私は事務局にアサインされたのですが、自分でも出してみたいと思いチャレンジしてみました。最終的に事業化には至らなかったのですが、経営陣にも評価してもらえて、ビジネスを作っていく面白さを感じた、というのは私の中でも大きな転機になりました。

ーー転職を考えられたきっかけは何だったのでしょうか。

オリックスは年次に関わらず声を聞いてくれるカルチャーがあって、環境も良かった。将来のキャリアステップもイメージできる会社でした。仕事でスタートアップと関わる機会があったことと、ビジネスを作っていく面白さを感じたことで、「自分にはどのような選択肢があるのだろうか」と考えた結果、一つの選択肢として転職という道がありました。実際のところ、最初はオリックスでもう少し経験を積ませてもらおう、という気持ちの方が強かったというのが本音で、転職を選んだ理由も一つではありません。いつか経営者になりたいという漠然とした考えや、もっと手触り感をもってビジネスを回したい、という思い、スタートアップで働いている人たちの楽しそうな印象。色々な要素が重なって転職を検討し始めました。一つ決めていたのは、大手に行くくらいならオリックスで頑張ろうということです。今お話しした、いくつかの理由を満たす「チャレンジしたい企業が見つかったら転職しよう」そのチャレンジが私の場合はスタートアップだった、ということです。

ーーモノづくり産業のLiberawareに関心を持ったきっかけは何だったのでしょうか

経営の目線で仕事をしたいと思っており、オリックスでの経験の延長線上で、最初はFintechやSaaSの情報収集をしていました。Liberawareは、それより前に偶然、業務を遂行する上で出会う機会があって、代表の閔(※同社CEO)に一度話を聞かせてほしいと直接コンタクトしたことがきっかけです。
ハードウェア産業ですので理解しづらいことも多かったのですが、プレゼンを聞き、解決しようとしている課題の大きさに惹かれていきました。投資を担当していた経験も生かし、Liberawareについても様々な角度から検討しました。ドローン産業について理解するところから始まったのですが、最後の方は、インフラ分野やプラント点検で評価されているということも分かってきましたので、屋内かつ小型ドローンの分野でビジネスが成り立つ、という仮説を持てるようになりました。

「巨大産業の課題に対して有効なアプローチを仕掛けていて、あと一歩で達成できそう」
「ファイナンスの専門人材がいないようなので、そこでも貢献できるかも」
「これから営業ももっと必要になるようだから、法人営業の経験も生かせそう」

SaaSのスタートアップも話を聞きに行ったりということは並行して進めていましたが、Liberawareに関係する他の人にも話を聞いたりして、少しずつ気持ちが傾いてきました。
オリックスで鍛えられた一つ一つの経験が、財産として繋がっていくのでは、と。

ーー迷いは無かったのですか?

迷いは確かにありました。そもそもスタートアップでのキャリアで本当にいいのか、もそうですし、環境も大きく違う。Liberawareに限らずですが、目先の給与を比較すると下がる。ですが、最終的には「チャレンジしたい」と思うか、という軸に立ち返って決断をしました。
年収という観点においては、自分の頑張りが会社の業績に与えるインパクトも大きく、上場することができれば大きなリターンも得ることができる。と考えました。
上司に退職の旨を伝えたところ、真剣に私の将来のことを考えて話を聞いてくれたことは、驚きも嬉しさもありました。後ろのスケジュールも詰まっていたのですが、面談を優先し「ちゃんと考えたのか」と、引き留めることを前提にするのではなく、私がどのような道に進みたいのか、そこに向けて何が最適なのかを一緒に考えてくれたのです。最後は「何かあったら連絡するように」と背中を押してくれました。ご縁があって、オリックスから出資いただき、事業面においても協業しております。

“あたりまえ”基準の違いに葛藤した転職後。
ギャップをいかに楽しみ、乗り越えるか。

ーー入社後の仕事内容について教えてください。

開発以外のことをほぼ何でもやっています。事業戦略室という部門に属しており、代表の閔が管掌する組織で経営企画と営業を担当する部門で、10名ほどが所属しています。そのほかには18名の人員がいる開発部と、管理部は4名の少数精鋭で運営しています。
私が取り組んでいたのはまずは資金調達。ハードテックはどうしてもお金がかかるので、
経験を生かして推進しています。前職のオリックスや前職で知り合った先にも提案し、出資をしていただけることになりました。
それから営業にも課題が多くあり、法人営業も担当しています。Liberawareのターゲット顧客は大企業が多いのですが、商談相手の先にいる決裁者を意識して商談を進めるナレッジ、提案書の書き方など、大企業を相手にビジネスをすることは、私自身も大企業にいたので経験が生きています。
他には、7月にJR東日本グループと合弁会社を設立したのですが、代表と二人三脚で準備を進め、設立後はそこの監査役を務めいているほか、海外事業の企画についても担当しています。

ーーうまくいかなかったことや、失敗はありましたか。

環境適応能力はある方だと思っていましたが、大企業と比較するとルールは無いに等しいので、仕事の進め方は戸惑う部分がありました。これは誰に聞けばいいのか、いや誰の仕事かも決まっていない、などは良く起こることです。会社は小さいのですが、コミュニケーションが難しいと感じる場面はありますね。大企業だと、研修をしっかりやるので、ある程度はメンバーの前提が揃っているのですが、30人前後の会社でも、色々なバックグラウンドの人がいて、当然研修など無いので、話の前提を合わせるところから進める必要があります。
他にも失敗というか、ギャップを感じることはあり、例えば、展示会に出展した後に、名刺交換した先にアプローチをしていくことは共通認識だと思っていたのですが、その仕組みも無いですし、全員にとってのあたりまえではありませんでした。その改善策として、細かいルールを決めてトレースをするという方法もありますが、それだとある程度裁量をもってやりたい人が集まっている会社では、モチベーションが下がる人も出てくるし、最善ではないこともある。楽しい部分でもあるのですが、いい意味でも悪い意味でも、あたりまえのズレ、というのは感じることが多いです。

ーー他にはどのようなギャップがありましたか。

スタートアップは若い人が多く、バリバリやっていくイメージがあったのですが、入社したら私が最年少でした。当社は平均年齢で言えば40歳くらいの大人のスタートアップです。
また、技術系スタートアップあるあるだと思うのですが、黙々と業務に向き合う人も多いので、コミュニケーションの頻度は人によって差が出る部分ですね。みんな熱量高く仕事をしていると思うのですが、コミュニケーションが少ないと、何をしているのかや、どこで躓いているのか、がすぐに見えないこともあるので、社員がもっと増える前までに、改善できる部分は改善していきたいと思います。

市場から作っていく、やりがいと難しさがある。
目指すのは、産業の再定義。

ーーどのような人に入社してほしいと感じますか。

技術系スタートアップで働くことは、社会的な意義もあり、やりがいがあると思っています。一方で素晴らしいものを作っているように見えても、ビジネスとして成立させるためには、元々ある産業を再定義し、市場自体を作っていく必要があります。市場としての0→1(ゼロイチ)を作っていくということなので、そのハードルは高く、単純作業ではないし、圧倒的な当事者意識を持ちながら、創造的かつ主体的に取り組む必要があるので、ハードワークになる部分が多くあります。
例えば、出資を受けるときに市場規模を聞かれるのですが、市場をゼロから作るので、妥当な数字を示すことは難しいこともあります。良い技術を持っていて、大手企業も採り入れたいと言っている。投資家にも、そこからスケールする感触も持ってもらえている。でも定量的に示せないと投資判断が難しいというのも、私が投資側の経験があるのでよく分かっています。
もう少し具体的に説明すると、当社はインフラメンテナンスの分野で評価を受けていますが、現在は人力で対応している分野であり、それをドローンでどこまで代替でき、どれくらいの規模のビジネスが生まれるのか、を具体的に算出するためには、非常に多くある変数を考慮する必要があります。1人あたりの生産性、そのほかの条件を仮定するなど、出そうと思えば出せなくもありませんが、投資という妥当性が求められる場面で、適切な数字を出すことはやはり困難なのです。この辺は難しさでもあり、魅力でもありますが、共感いただける方は一度話を聞きにきていただきたいですね。

ーー今後はどのようなことに取組んでいきたいと考えていますか。

大学生のときに思い描いたキャリアとは全く違うことをやっているので、5~10年以上先のことを具体的に考えることはしないようにと思っています。今はLiberawareを何とか成長させたい。上場もさせたいと思っています。いつか起業したい、という思いは変わっていませんが、そのタイミングや、ビジネステーマなどは、目の前のことに向き合った先に考えたいと思います。
Liberawareでは、事業や組織を動かす立場を目指したいと思っており、例えばその時はタイトルを持っていた方が、対外的に仕事がしやすい場面も出てくると思っています。タイトルありきで転職した訳ではありませんし、能力を発揮してから登って行った方がうまくいくと思うので、そこはしっかり周囲に認められて目指していきたいところですね。以前、大手企業の〇〇責任者として仕事をしていました、という方で、絶対にCxOにしてくれという方がいるという事例をたくさん聞いたことがありますが、いかに経験豊富な方でも最初から異文化でマネジメントをするのは大変だと思います。自分も周囲も納得感を持って、より大きなチャンスを勝ち取れるようになりたいと思っています。

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